関数の入れ子(ネスト)を整理して書くコツ:長い数式でも迷子にならないための思考法

Excelを使いこなしていくと、どうしても避けて通れないのが「関数の入れ子(ネスト)」です。

「IF関数の中にさらにIF関数を入れる」「VLOOKUPの検索値に別の関数を組み合わせる」といった複雑な数式は便利ですが、一歩間違えると修正不可能な「スパゲッティ数式」になりがちです。

今回は、長い数式をミスなく作成し、後から見返しても一瞬で理解できる形に整理するためのコツをご紹介します。


1. 「日本語」でロジックを書き出してから組み立てる

いきなり数式バーに = を入力し始めるのは、設計図なしで家を建てるようなものです。まずは、自分がやりたいことを日本語で整理しましょう。

例:点数に応じて評価を分ける場合

  • もし80点以上なら「A」
  • そうでなければ……
    • もし60点以上なら「B」
    • それ以外は「C」

このように階層構造(段落)を意識してメモ書きすることで、関数のカッコを閉じるタイミングが明確になります。


2. 数式バーで「改行」と「スペース」を活用する

Excelの数式は、実はプログラミングコードのように改行やスペースを入れて整理することができます。これは、複雑な数式を扱うプロの間では「可読性を高める鉄則」として使われているテクニックです。

Alt + Enter を使うことで、数式を劇的に読みやすくできます。

× 読みにくい例: =IF(A1>=80,"A",IF(A1>=60,"B","C"))

○ 読みやすい例:

=IF(A1>=80,
    "A",
    IF(A1>=60,
       "B",
       "C"
    )
)

このように改行を加えるだけで、「どのIFがどこで終わっているか」が視覚的に一瞬でわかるようになります。

【重要】失敗しないための注意点

スペースや改行はどこに入れても良いわけではありません。以下の2点だけ気をつけましょう。

  • OKな場所: カンマ(,)の後や、カッコ( )の前後。
  • NGな場所: * " "(ダブルクォーテーション)で囲まれた文字の中。
    • 関数名やセル番地の途中(例:VLOOK UPA 1 はエラーになります)。

💡ヒント:数式バーを広げよう 改行した数式が1行しか見えないときは、数式バーの右端にある「∨」ボタンを押すか、バーの境界線を下にドラッグして広げてみてください。隠れていた数式がすべて見えるようになります。


3. 難しい部分は「作業列」に切り出す

「一つのセルですべてを完結させなければならない」という思い込みを捨てましょう。 あまりにネストが深くなる(4つも5つも重なる)場合は、数式を分割して作業列を作るのがプロのやり方です。

  • ステップ1: A列のデータから特定の文字だけを取り出す(作業列)
  • ステップ2: 作業列の結果を使って「VLOOKUP」で検索する(本番列)

このように分けることで、エラーが起きたときに「どの段階で間違えたのか」の原因究明が圧倒的に早くなります。最終的にスッキリ見せたい場合は、作業列を「非表示」にするだけでOKです。


まとめ:メンテナンスしやすい数式が「真のExcelスキル」の証

複雑な数式を1行で書けるとかっこよく見えるかもしれません。しかし、本当に実務で重宝されるのは、「自分以外の人が見ても、30秒で意味がわかる数式」です。

  1. 日本語でロジックを整理する
  2. Alt+Enterで改行して見た目を整える
  3. 無理せず作業列に分ける

この3つを意識して、メンテナンス性の高い「美しいシート」作りを目指しましょう。

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