Excelで一覧表を作っていると、「完了した仕事の行を灰色にしたい」「期限を過ぎた行を赤くしたい」と思うことがあります。
対象のセルだけではなく、行全体に色を付けると、表の状態がひと目で分かるようになります。
このような場合に使うのが、数式を使った条件付き書式です。
ただし、条件付き書式の数式では「$D2」のような、少し分かりにくい書き方が出てきます。
この記事では、操作手順だけでなく、なぜその数式になるのかを初心者向けに説明します。
1. 条件付き書式で行全体に色を付けられる
(1)条件に合う行を自動で見やすくできる
条件付き書式とは、セルの内容が条件に合ったときに、文字や背景の色を自動で変更する機能です。
例えば、次のようなタスク管理表があるとします。

この表で、D列の状況が「完了」になった行全体を灰色にすると、残っている作業が見つけやすくなります。
(2)使う数式は「=$D2=”完了”」
A2からD100までの表に条件付き書式を設定する場合、使う数式は次のようになります。
=$D2="完了"
この数式は、次の意味です。
「その行のD列に『完了』と入力されていたら、書式を変更する」
D2だけを見るのではなく、3行目ではD3、4行目ではD4というように、行ごとに確認するセルが変わります。

2. なぜ「$D2」と書くのか
(1)D列だけを確認するため
条件付き書式で行全体に色を付ける場合でも、条件を判断する場所はD列だけです。
例えば、A2からD2までのすべてのセルが、D2の「完了」という文字を見て色を変える必要があります。
そこで、Dの前に「$」を付けます。
$D2
「$D」は、確認する列をD列に固定するという意味です。
A列のセルにもB列のセルにも書式を付けますが、条件の判断には必ずD列を使います。
(2)行番号は固定しない
一方で、行番号の2には「$」を付けません。
$D2
行番号を固定しないことで、条件付き書式は行ごとに次のセルを確認します。
| 書式を設定する行 | 確認するセル |
| 2行目 | D2 |
| 3行目 | D3 |
| 4行目 | D4 |
| 5行目 | D5 |
このように、列はD列に固定し、行は表に合わせて動かすことがポイントです。
(3)「$D」ではうまくいかない
次のように入力すると、D列と2行目の両方が固定されます。
=$D$2="完了"
この場合、表のすべての行がD2だけを確認します。
D2が「完了」ならすべての行に色が付き、D2が「完了」でなければどの行にも色が付きません。
行ごとに状態を判断したい場合は、行番号を固定しないようにします。
正しい書き方は次のとおりです。
=$D2="完了"

3. 行全体に色を付ける設定方法
(1)書式を設定する表の範囲を選ぶ
まず、色を付けたい表の範囲を選択します。
今回の例では、見出しを除いたA2からD100までを選択します。
A2:D100
D列だけではなく、色を付けたい行全体を選ぶことがポイントです。
D列だけを選択すると、条件に合ったときにD列のセルだけに色が付きます。
(2)条件付き書式の新しいルールを開く
Excelの上部メニューから、次の順番で選択します。
「ホーム」→「条件付き書式」→「新しいルール」
続いて、数式を使って書式を決める項目を選択します。
Excelの種類によって、表示される言葉が少し異なることがあります。
(3)数式を入力する
数式の入力欄に、次の数式を入力します。
=$D2="完了"
ここで入力する2は、選択した範囲の先頭行と合わせます。
今回選択した範囲はA2から始まっているため、数式もD2から始めます。

(4)色を設定する
「書式」から、背景色や文字色を選択します。
完了した行を目立たなくしたい場合は、薄い灰色などが使いやすいでしょう。
設定を確定すると、D列が「完了」になっている行全体に色が付きます。
4. 数式と適用範囲の関係を理解する
(1)適用範囲の先頭行が基準になる
条件付き書式の数式は、適用範囲の左上にあるセルを基準に考えます。
例えば、適用範囲が次のようになっているとします。
A2:D100
この場合、先頭行は2行目です。
そのため、数式も2行目を基準にします。
=$D2="完了"
適用範囲がA3から始まる場合は、数式もD3にします。
=$D3="完了"
適用範囲と数式の行番号がずれていると、一つ上や一つ下の行を見て色が付くことがあります。

(2)条件を入力する列と色を付ける範囲は別
条件付き書式では、次の2つを分けて考えると分かりやすくなります。
| 考える内容 | 今回の例 |
| どのセルを見て判断するか | D列の状況 |
| どこに色を付けるか | A列からD列までの行全体 |
D列を見て判断するからといって、D列だけを選択するわけではありません。
最初に色を付けたい範囲全体を選び、その後で判断に使う列を数式で指定します。
5. 条件付き書式がうまくいかない原因
(1)適用範囲と行番号がずれている
適用範囲がA2から始まっているのに、数式を次のようにしているケースです。
=$D3="完了"
この場合、2行目の色を決めるときにD3を確認するため、色が一行ずれて表示されます。
適用範囲の先頭行と、数式の行番号を合わせましょう。
(2)行番号にも「$」を付けている
次の数式では、D2が完全に固定されています。
=$D$2="完了"
行ごとにD列を確認したい場合は、行番号の前に「$」を付けません。
=$D2="完了"
(3)色を付けたい範囲全体を選んでいない
D2からD100だけを選択して条件付き書式を設定すると、D列だけに色が付きます。
行全体に色を付ける場合は、A2からD100など、行全体を含む範囲を選択します。
(4)文字の前後に空白が入っている
セルに「完了」と表示されていても、実際には前後に空白が入っていることがあります。
例えば、次の文字はExcelでは別の文字として扱われます。
- 「完了」
- 「完了 」
- 「 完了」
コピーしたデータや、ほかのシステムから取り込んだデータでは、見えない空白が含まれていることがあります。
数式が正しいのに色が付かない場合は、セルの文字を入力し直して確認してみましょう。
(5)数式の先頭に「=」がない
条件付き書式に入力する数式は、通常のセルに入力する数式と同じように「=」から始めます。
正しい例は次のとおりです。
=$D2="完了"
6. 条件付き書式の応用例
(1)「未対応」の行を赤くする
D列が「未対応」の行に色を付ける場合は、次の数式を使います。
=$D2="未対応"
文字を変更するだけで、同じ仕組みを利用できます。
(2)期限を過ぎた行に色を付ける
C列に期限日が入力されているとします。
今日より前の日付で、D列が「完了」ではない行に色を付ける場合は、次のような数式が使えます。
=AND($C2<TODAY(),$D2<>"完了")
この数式は、次の2つの条件を両方満たしているかを確認します。
- C列の日付が今日より前
- D列が「完了」ではない
期限を過ぎている未完了の仕事だけを目立たせることができます。
(3)金額が一定以上の行に色を付ける
E列に金額が入力されていて、10万円以上の行に色を付ける場合は、次の数式を使います。
=$E2>=100000
この場合も、確認する列はE列に固定し、行番号は固定しません。
7. 条件付き書式を使いやすくする表の作り方
(1)同じ列には同じ意味のデータを入れる
条件付き書式を正しく使うには、表の形も重要です。
例えば、D列を「状況」の列と決めたら、D列には「完了」「対応中」「未対応」など、状況を表すデータだけを入力します。
途中の行だけ担当者名や日付を入力すると、条件を正しく判断できなくなります。
同じ列には、同じ意味のデータを入れることが基本です。
(2)1行に1件のデータを入力する
タスク管理表であれば、1行に1件の作業を入力します。
| 番号 | 作業内容 | 担当者 | 状況 |
| 1 | 見積書を作成 | 佐藤 | 完了 |
| 2 | 資料を確認 | 鈴木 | 対応中 |
一つのセルに複数の作業をまとめたり、途中に小見出しを入れたりすると、条件付き書式や並べ替え、集計が使いにくくなります。
条件付き書式を設定する前に、表が「1行1データ」になっているかも確認してみましょう。
8. まとめ
条件付き書式で行全体に色を付ける場合は、色を付けたい範囲全体を選択し、条件を判断する列を数式で指定します。
D列が「完了」の行に色を付ける数式は、次のとおりです。
=$D2="完了"
ポイントは、「$」をDの前だけに付けることです。
$Dは、確認する列をD列に固定する2は、行ごとに変化させる- 適用範囲の先頭行と、数式の行番号を合わせる
数式を丸暗記するよりも、「どの列を固定し、どの行を動かしたいのか」を考えると、ほかの表でも応用しやすくなります。
条件付き書式は、表の状態を分かりやすくするための機能です。
表を「1行1データ」「同じ列には同じ意味のデータ」という形で作っておくと、条件付き書式も正しく設定しやすくなります。
