「売上表を作ったのに、あとから集計しづらくなった」
「ピボットテーブルを使おうとしたら思ったように分析できない」
そんな経験はないでしょうか。
実はその原因は、関数の知識不足ではなく「表の作り方」にあることが少なくありません。
前回の記事では、Excelで最も大切な考え方のひとつである「1行1データ」の原則について解説しました。
まだ読んでいない方は、先にこちらの記事をご覧ください。
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今回は、その考え方を実際の表の形に当てはめながら、「縦持ち」と「横持ち」の違いを解説します。
1. 結論:Excelは「縦にデータを増やす表」が得意
まず結論です。
Excelで集計や分析を行う場合は、基本的にデータを縦方向へ追加していく形が適しています。
例えば売上データなら、次のような表です。
| 担当者 | 月 | 売上 |
|---|---|---|
| 田中 | 4月 | 100 |
| 田中 | 5月 | 120 |
| 田中 | 6月 | 90 |
| 佐藤 | 4月 | 80 |
| 佐藤 | 5月 | 110 |
| 佐藤 | 6月 | 95 |
このような形を「縦持ち」と呼びます。
一方で、初心者が作りがちな表がこちらです。
| 担当者 | 4月 | 5月 | 6月 |
| 田中 | 100 | 120 | 90 |
| 佐藤 | 80 | 110 | 95 |
こちらは「横持ち」と呼ばれる形です。
見た目は分かりやすいのですが、実は集計や分析では不利になることが多いのです。
2. なぜ横持ち表は扱いにくいのか
(1)月が増えるたびに表の構造が変わる
横持ち表では、7月になれば列を追加しなければなりません。
| 担当者 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 |
| 田中 | 100 | 120 | 90 | 110 |
つまり、データが増えるたびに表の構造そのものが変わります。
表の構造が変わると、
- 数式
- グラフ
- 集計範囲
などの修正が必要になることがあります。
データが増えるたびに列を追加する表は、長く運用するほど管理が難しくなります。
(2)フィルターや集計がしにくい
例えば、
- 5月のデータだけ見たい
- 月別売上を集計したい
- 担当者別に分析したい
といった場面を考えてみましょう。
縦持ち表なら、「月」という項目に対してフィルターや集計ができます。
しかし横持ち表では、4月・5月・6月がそれぞれ別の列になっているため、Excelが「月」という共通項目として扱いにくくなります。
(3)ピボットテーブルとの相性が悪い
ピボットテーブルは、
- 担当者
- 月
- 商品
- 地域
などの項目を自由に組み合わせて分析する機能です。
しかし横持ち表では、「4月」「5月」「6月」が列名になっているため、月というデータ項目として扱えません。
その結果、分析できる内容が大きく制限されてしまいます。
3. なぜ縦持ち表は強いのか
(1)データを追加するだけで済む
縦持ち表では、新しいデータが増えたら行を追加するだけです。
| 担当者 | 月 | 売上 |
| 田中 | 7月 | 110 |
表の構造は変わりません。
追加されるのはデータだけです。
このため数式やグラフが壊れにくくなります。
(2)「1行1データ」を守りやすい
前回の記事で解説した「1行1データ」の原則とも非常に相性が良いです。
| 担当者 | 月 | 売上 |
| 田中 | 5月 | 120 |
この1行を見るだけで、
- 誰のデータか
- いつのデータか
- いくらのデータか
が分かります。
これがデータベースの基本的な考え方です。
Excelの集計機能は、このようなデータ構造を前提として作られています。
(3)Excelの機能を最大限活用できる
縦持ち表は、
- フィルター
- 並べ替え
- テーブル機能
- ピボットテーブル
- SUMIFS
- COUNTIFS
- XLOOKUP
など、多くの機能と相性が良くなります。
詳しくは、以下の記事でも解説しています。
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4. 横持ち表がダメというわけではない
ここで誤解してほしくないのは、横持ち表が間違いというわけではないことです。
例えば会議資料や報告書では、横持ち表の方が見やすいことがあります。
| 担当者 | 4月 | 5月 | 6月 |
| 田中 | 100 | 120 | 90 |
| 佐藤 | 80 | 110 | 95 |
一方で、
| 担当者 | 月 | 売上 |
| 田中 | 4月 | 100 |
のような縦持ち表は、「管理するための表」です。
つまり、
- 管理するための表 → 縦持ち
- 見せるための表 → 横持ち
という役割の違いがあります。
Excelで集計するなら、まず縦持ちでデータを管理し、その結果を横持ちの報告資料として見せるのがおすすめです。
5. まとめ
Excelが苦手な人ほど、「見やすい表」を先に作ろうとします。
しかしExcelが得意な人は、まず「集計しやすい表」を作り、その結果を見やすく表示します。
この考え方の違いが、あとから大きな差になります。
今回のポイントをまとめます。
- Excelは縦方向にデータを追加する表が得意
- 縦持ちは「1行1データ」を守りやすい
- フィルターやピボットテーブルとの相性が良い
- 管理用データは縦持ち、報告用資料は横持ちが基本
どんな関数よりも先に、集計しやすい表を作ること。
それがExcelを使いこなすための近道です。